保育ファシリテーションとは

ファシリテーターとはプロセスを促進する人です。

教育方針イメージ

「ファシリテーターとは、プロセスに働きかける(介入する)ことを通して、グループの目標をメンバーの相互作用により共有し、その目標を達成することとメンバー間の信頼感や一体化を促進する働き(ファシリテーション)をする人※」です。
一般的な学校の教師は、一斉指導などの指示・伝達型の手法を使い、成果・結果を重視します。
一方、ファシリテーターは参加・対話型の手法を使います。
参加・対話型の手法として、代表的なものに体験学習や協同学習と呼ばれるアクティブラーニング等の手法があります。そして、成果・結果だけではなく、参加者同士の関係性や感情も重視します。

(※津村俊充(2012)「プロセス・エデュケーション 学びを支援するファシリテーションの理論と実際」金子書房より)


保育現場においてファシリテーターの存在が求められる理由

現在、保育業界の人材確保が社会問題化しています。子どもの最善の利益を保障し、子どもの健やかな育ちを支援するために、保育の質の確保・向上は必須であるといえるでしょう。保育の質を確保・向上していくためには、それを担う保育人材の確保だけではなく、定着と育成が求められています。
ところが、現場では保育者の勤続年数の短さや離職率の高さが課題となっています。保育者の離職については多くの研究がありますが、代表的な要因として園内の保育者間の人間関係や、保護者との関係等が挙げられます。
離職者を対象に行った研究では、離職を決意するまでに職場内で問題に対する直接的な援護を受けることで、離職が回避される可能性があることが示唆されています。また職員同士「互いにケアし育み合う文化を築く※」ことができれば、組織的に課題に対応し、さらに一人ひとりが専門性を向上させるための仕組みや雰囲気ができてきます。
保育現場においてファシリテーターという存在がいることで、「互いにケアし育み合う文化を築く」ことを促進したり、支援することができます。

(※イラム・シラージ、エレーヌ・ハレット著、秋田喜代美 監訳・解説、鈴木正敏、淀川裕美、佐川早季子 訳(2017)「育み支え合う保育リーダーシップ:協働的な学びを生み出すために」明石書店より)


保育ファシリテーションとは

保育現場においてファシリテーションのスキルとマインドを用いることを「保育ファシリテーション」と定義しています。
保育ファシリテーターは、保育の質を高めるために相互尊重に基づいた援助をし、学び合い成長できる保育コミュニティづくりを促進します。「子どもの育ち」というミッションは、保育者一人だけで達成できるものではありません。
子ども・保育者・園・保護者・地域社会がつくる一つのコミュニティ成長や協働することを促す保育ファシリテーターは、相互尊重を基本とした関わりを通して、現場に変革を起こしていく保育者です。